子供の頃、学校の帰り道。少し道草をしてしまい、風景が夕日に包まれ、カラスさんたちの鳴き声が聞こえてくると、「あ!帰らないと・・」と思った記憶があります。
童謡の「夕焼け小焼け」を知っているからそんな風に思ったのか、それとも夕焼けとカラスさんの鳴き声が、家路を急がせる雰囲気だったのか。そこは覚えていませんが、「カラスと一緒に帰りましょう」という歌詞は、いつでも記憶の引き出しから出てくる、とても印象深い言葉の様な気がします。
嫌われる事が多いカラスさんたちですが、童謡に登場することから考えても、昔はごく自然にニンゲンと共存できていたのかもしれません。
カラスさんをお祭りしている神社もあります。九州でも「小烏神社」とよばれる神社があり、「八咫烏」がご祭神とされているそうです。
ワタシだけかもしれませんが、寺社仏閣でカラスさんを見かけると、なんとなくホッとする様な気持ちになります。
カラスさんはお寺や神社が好き(カラスさんに聞いたわけではないので、本当のところはわかりませんが)なのか、よく姿を見かけます。
一度、お寺の屋根の下に食べ物を隠している姿を見ました。美しい木の組み合わせと模様に、カラスさんの姿が溶け込んで不思議な感じがしました。散らかしたりはしませんよ。
石仏の周辺でのんびり探索しているカラスさんを見かけると、ついじっと見てしまいます。お寺や神社という場所の雰囲気と、邪心の無いカラスさんの姿が混ざり合って、気持ちが和みます。
青空の下、お寺や神社の屋根にとまるカラスさんは、なんだか神聖な感じがして、とても凛々しくみえます。昔の人々はカラスさんたちの姿を見てどんな風に思ったのでしょう。万葉集にもカラスさんの事を詠んだ歌があるそうです。
古い時代。カラスさんたちは、ニンゲンと程よい距離で、今よりずっと平穏に暮らしていたのではないかと思います。ニンゲンの暮らし方が変化したことで、カラスさんたちの生き方も変わってきたのかもしれません。
今も昔も変わらないもの。夕日の中をスイスイと飛行するカラスさんの姿。懐かしい様な、ちょっぴり切ない様な、素敵な風景だと思います。
カラスさんたち。みんな元気でね。